戦場のメリークリスマス 4K修復版

2023-05-01

なんだかんだと言いながら、今年もよく映画を見に行っていると思います。本当はもう少し見に行きたいのですが、コロナ禍2年目ということを考えると、思うように撮影や編集が進んでいなかったりするのかな。超大作と言われるような映画は少ない気もしますが、公開予定を見ると見たいなと思う映画がたくさんあります。

新作もいいですが、旧作にも目を向けると…。戦場のメリークリスマス 4K修復版を見に行きました。言わずと知れた1983年公開の超ヒット作です。例によって、ネタバレ要素ありにつき、知りたくない人は回れ右で。

(ここから、公式サイトより)
1942年戦時中のジャワ島、日本軍の俘虜収容所。収容所で起こった事件をきっかけに粗暴な日本軍軍曹ハラ(ビートたけし)と温厚なイギリス人捕虜ロレンス(トム・コンティ)が事件処理に奔走する。一方、ハラの上官で、規律を厳格に守る収容所所長で陸軍大尉のヨノイ(坂本龍一)はある日、収容所に連行されてきた反抗的で美しいイギリス人俘虜のセリアズ(デヴィッド・ボウイ)に心を奪われてしまう。クリスマスの日にハラは「ファーゼル・クリスマス」と叫んでロレンスとセリアズを釈放してしまう。それに激怒したヨノイは捕虜の全員を命じるのだが、周囲からの孤立を深める結果になり、葛藤に苦しむのだった。
(ここまで、公式サイトより)

この作品、すごいですよね。戦闘シーンが一切ない戦争映画。戦闘シーンがないからこそ戦争の迫力と人間性を目の当たりにさせられます。起用した俳優も、多くが俳優ではない俳優です。全体的に滑舌の悪い会話ですが、これこそ日常です。普段の生活で、みんながみんな滑舌のいい会話をしているはずがありません。「え?」と聞き返したいこともありますが、話の流れからわかったフリをすることなんて日常茶飯事…(笑。

ヨノイ大尉とセリアズ少佐については目に見えてわかる愛情劇ですが、朝鮮人軍属とオランダ兵、ハラ軍曹とロレンス中佐にもそれぞれの友情(愛情?)が様々な形で表されます。
序盤、セリアズ少佐がハラ軍曹を見て「変な顔だが、目はきれいだ」とつぶやきますが、最後にハラ軍曹の顔が大写しになったときに効果を発揮します。
中盤のハラ軍曹の台詞「Lawrence!! Merry Christmas, Lawrence. Merry Christmas.」と、最後のハラ軍曹の台詞「Lawrence!! Merry Christmas, Merry Christmas, Mr. Lawrence.」。立場は変わっても同じ「Lawrence!!」、立場が変わったからこその「Lawrence」と「Mr. Lawrence.」。そしてそれを受け入れるハラ軍曹とロレンス中佐。ヨノイ大尉とセリアズ少佐が目立って取り上げられますが、最後はハラ軍曹とロレンス中佐に集約されます。だいたい、英題が「Merry Christmas Mr. Lawrence.」ですからね。

映画はすべてを映像化して、すべてを公にするのではなく、余韻を残すことで見る人への想像力を駆り立てます。余計な伏線の回収などはしなくてもいいじゃないか!

愛のコリーダ 修復版の予告編も一緒にどうぞ。
(愛のコリーダは阿部定事件がどうも苦手なので、まだ見る気持ちになれません…。)