本の雑誌 2023年5月 活字吹雪でお別れ号 No.479

479号が発売される今になって、ようやくの感想。

特集は「さらば友よ!」。

本の雑誌の創刊者であり、本の雑誌社の前社長だった目黒考二さんが亡くなられたのが1月。その訃報を聞いて、もうあの鋭い書評が読めなくなるのかと悲しい日々が続いています。

そんな目黒さんの追悼号は、目黒孝二、北上次郎、藤代三郎という三人の追悼本になっています。
本を読むことで生活が成り立つ=書評家という仕事が今存在するのは、ひとえに目黒さんのおかげではないでしょうか。もっとも、完全なる理想は、「本を読むだけで生活が成り立つ」ことなんでしょうけど、さすがにそんな時代はもう少し先のようです。今はまだ、本を読んだ後で書評を書かないと生活できません。でも、目黒さんはそんな時代を夢想し続けてたんだろうなあ。だって、本を読む時間がないから仕事を辞める、だもの。

巻頭の本棚も目黒さんの書斎。すさまじい量の蔵書ですが、これ、全部読んだ結果なんですよね。私は「買ったはいいけど読めていない」積読本がかなり増えてきていますが、やはり本を買うなら読まなくちゃ、本として生まれた甲斐がない、と思わされました。最近は、ハンドブックや便覧のような知識を補うための本がメインとなっていて、純粋に物語を楽しむ本を読めてません。ああ、嫌だ嫌だ。本を読むことを楽しみたい。

今号は今までにないボリュームで、よくもまあ発行できたものです。編集後記でもその辺りのことに言及されていて、紙が普段と違っていたり、定期購読者への発送封筒も違うものを使ったりと、波瀾万丈は平常です。