さらば、わが愛/覇王別姫
さらば、わが愛 覇王別姫 4K｜トップ (cinemakadokawa.jp)
1993年に公開、張國榮（レスリー・チャン）主演。
第46回カンヌ国際映画祭 パルム・ドール賞、FIPRESCI賞
第51回ゴールデン・グローブ賞、外国語映画賞
第59回NY批評家協会賞、外国語映画賞、助演女優賞
第19回LA批評家協会賞、外国語映画賞
第66回米アカデミー賞、外国語映画賞ノミネート
と、燦然と輝く賞歴を持つ作品です。
ただ単に古典的京劇「覇王別姫」をなぞっているのではなく、第二次世界大戦や文化大革命といった激動の時代に生きる二人の京劇俳優の悲喜交々が、画面いっぱいに情緒的に描かれています。
話の始まりから血まみれ（何が起きたのか理解できていなかったのですが、後から調べて多指症の少年の指を切り落とした、ということが分かった）であり、修行という名の虐待が続き、ようやく栄華を掴んだかと思えば文革という政治的暴力によって辛苦を味わわされる、二人の京劇俳優。
ラストエンペラーでも感じましたが、中国の文化大革命は本当に失政で失策だと思います。新しい統治者が過去をなかったことにするという、実に中華的な思想を体現しています。中央か辺境か、勝者か敗者か、０か１か。和合、新旧混ぜ合わせ、温故知新という思想があればより多くの文化を残すことができただろうに、と残念でなりません。
秦の始皇帝の死後、項羽と劉邦の時代。四面楚歌。覇王（項羽）と姫（虞美人）。
第二次世界大戦前のキナ臭い時代、二人の京劇俳優。
2003年、主演のレスリー・チャンは自ら命を絶ちましたが、約3時間に及ぶレスリー・チャンの妖艶さは、どうしても虞美人の最期と重ねてしまいます…。