本の雑誌 2023年11月 イカワタ寄り切り号
12月号も1月号も出てますが、11月号の感想。
特集は「方言と小説」。
方言って何でしょう。方言は地方の言葉。同音異義、意義同音、色即是空、空即是色。単語だけでなく、アクセントやイントネーションも地域によって様々です。まさに多様性、SDGs。対して、標準語と言われる言葉もありますが、これは地方の言葉を平均化した言葉でしょうか。東京の言葉かな、という気もしますが、実際のところ東京も地方の一部なので、東京弁=標準語という定義には当てはまらないようです。
方言を使った小説は、郷土出版の本に多いイメージがあります。地方新聞の出版部門などでの取り扱いですね。さすがに全篇を方言化している小説は見かけませんが、台詞に使うだけでも地方感が増します。
地方新聞の出版部門ではありませんが、「吉里吉里人」(井上ひさし著)は圧倒的な方言小説かもしれません。東北の小さな村が「吉里吉里国」として日本から独立する話ですが、地方が独立する話といえば「独立・土佐黒潮共和国 やっちゃれ、やっちゃれ!」(坂東眞砂子著)も欠かせません。「プリンセス・トヨトミ」(万城目学著)は大阪が独立しそうな勢いですし、最近のラノベではあっちこっちで独立国家が乱立してます。日本の文芸界では、今も昔も独立がキーワード?
言葉は文化です。「自身の民族言語に対して自覚的になろう。言語がなければ民族もない」。どこで聞いたのか覚えていませんが、言葉・言語はアイデンティティです。となると、方言単位で独立したくなるのは当然のことなのかもしれません。
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