品質マネジメントシステム

2021-11-24

モノづくり視点での要素として「4M」のことを書きましたが、モノづくりとは切りたくても切れない関係にある品質マネジメントシステムについても少し触れておきます。

そもそも「品質マネジメントシステム」って何でしょう?
Wikiによると、
品質マネジメントシステムとは、マネジメントシステムのうち品質に関する領域、すなわち「品質方針・品質目標・達成プロセスを確立する(品質をマネジメントする)ための、相互に関連・作用する組織の一連の要素(システム)」である。 品質マネジメントシステム – Wikipedia
とあります。

品質マネジメントシステムの中で最右翼なのは、ISO9001シリーズです。ISO、すなわち、国際標準化機構( International Organization for Standardization)が標準化した規格で、今やこのISOこそが世界の標準のようになっています。
このISO9001をベースに、
 医療機器に特化した、ISO13485
 (日本の)航空・宇宙産業に特化した、JISQ9100
 (日本の)原子力発電に特化した、JEAC 4111
など、さまざまな分野に影響を与えているISO9001ですが、世界を市場にするには、この規格の認証が不可欠な状態になっています。

で、結局のところ何なのか、というのが正直ぼくも理解できていません。ただ、今までの経験から
すべての作業を標準化(同じ材料、設備、方法を使う)すれば、誰が作っても同じ品質のものができる
ということではないかと思っています。突き詰めると、「すべての作業を標準化して誰もが同じようにできる」ようにすることが求められているといっても過言ではないでしょう。いつの間にか、モノづくりは職人芸が許されない世界になってしまいました。

一昔前までは、職人的気質と技量によって日本のモノづくりは成り立っていましたが、今やその発想はISOが許してくれません。旧来の日本式モノづくり、つまり「教わって覚えるのではなく、見て覚える(師匠の技を盗む)」は残念ながらNGなんですね。

個人的には、この”ISOの呪縛”が日本の製造業衰退の理由の1つではないかと思っています。標準的な作業で一定レベルのモノを作ればよい、という考え方に陥ってしまうと、高品質にするための技量や思考が衰退しがちです。「このレベルでも売れるし、まぁ、いいか」という感じですね。製品として成り立つのであれば、それ以上の品質を求めることはコストアップにつながり、利益を減らすことになります。経営者(モノ言う株主?)が最も嫌がることですね。工業製品に伝統工芸品や芸術品のような思考を当てはめる必要があるのか、という議論もありますが、かつての「日本の高品質」は、そういった標準化とは違う視点での作業の結果であったのだろうな、と思います。

旧来の日本式モノづくりと、ISO式モノづくり、どちらも一長一短がありますが、なにがなんでもISO準拠ではなく、大量消費・大量生産の場合はISO、少量多品種の場合は除外、など一定の棲み分けがあってもよさそうな気がします。