MS-DOSハンドブック

古くから操業している工場だと、設備制御用のPCがPC-98だったりするのは当たり前の世界です。下手したら、5.25インチのフロッピーディスクだったり、もっとすごいところだと8インチフロッピーやカセットテープをいまだに使っている設備もあるようです。制御用PCなんてのは、一歩間違えば製品製造に支障をきたすのでおいそれと更新できません。一方で、壊れてしまってはそもそも製品製造ができなくなるという、それはそれは神座におわす神のごとく扱わなければならないのです。(実際はなかなか厳しい環境に置かれてますが、それでも動き続けているから健気なものです)

当然、WindowsなどといったGUI(Graphical User Interface:早い話がマウスクリックで動くアプリケーション)は使われておらず、ひたすらコマンド入力で制御、もしくはプログラム開発をしなくてはいけません。
Window95の発売以降、多くの人がGUIに慣れてしまったので、コマンド入力でPCを制御することができる人はずいぶんと減ったと思います。
扱える人は減っても、設備はそのまま。となると、設備担当者は古(いにしえ)の知識であったりメモであったり、(よくわからない)マニュアルを引っ張り出してなんとかしなくちゃいけないのですが、それらには当然のように「当時のあたりまえ(常識)」については書いていないのです。

前置きがながくなりましたが、個人的に手放せないのがタイトルの「MS-DOSハンドブック」です。ファイル制御の基礎的な部分しか書かれていませんが、ファイルを扱うための重要な手がかりです。当たり前のようにほとんどすべてのコマンドを丸暗記していますが、めったに使わないコマンドもあるので、時々思い出すために読み返すようにしています。
古いPCからファイルを取り出して、新しいPCで(しかもテキストエディタで!)ファイル更新して、また元に戻すような作業があったりなかったり。
DOSメニューでコマンド入れてPATH入れて…で制御していた時代を知っている人は貴重な存在になってきているのですが、そういった技能継承もできていないので、設備はあるけど使えない、ということもこれから増えてきそうです。

今やフロッピーディスクすら見たことがない人が製造現場で活躍する時代ですが、そのうち、そういった人が設備のメンテナンスもするようになっていくのだろうなぁ、と考えると、なんとか新しい設備を導入して最新PCで制御できるようにしてあげたい、とも思うのですが、「使えるものは壊れるまで使う」という日本のモノづくり方針だと、そう簡単に設備更新ができないのが悲しいところです。

そして、「壊れるまで使ったら更新していいのか」→「直して使え」が定番。