COTS

「コッツ」と読みます。 COTS = Commercial Off-The-Shelf
 commercial : 商業の、商用の
 off-the-shelf : 既製品、棚から取り出してすぐに使える、在庫になっている
言葉のつながりで考えると「在庫がたくさんある商用品」となりますが、イメージとしては「一般流通している汎用品」という感じだと思います。

この「商用品」「汎用品」という言い方がなかなかくせ者ですが、対する言葉としては「専用品」になると思います。
「PC = Personal Computer」に対する「FC = Factory Computer」としてNECのPC-98シリーズを産業用途として再構成したFC-98シリーズや、耐環境性に優れたPanasonicのタフブックなどがあります。産業用途なので専用品とも言えますが、これもCOTS品という感覚です。

COTSに対する「専用品」は生半可なモノではなく、家庭環境や工場環境以上に劣悪な場面、つまり航空宇宙や軍事用の機器に使われる部品ではないでしょうか。温度であったり、振動・衝撃であったり、耐久性であったり、一つ一つに非常に高い信頼求められます。
身近なところでは、MIL規格(Military Standard)などがあげられますね。 え? 米軍の軍事仕様のどこが身近なのかって? 腕時計や携帯電話、パソコンでも「MIL準拠」がうたわれているものがよくあります。腕時計の例でいくと、CASIOのG-SHOCKなど(モノにもよる)でしょう。「準拠」はあくまでも準拠であって、公的に品質保証されているわけではないのでご注意を。
MILの電子部品は、メーカーで作られた部品を特定環境下でスクリーニングして合格だった部品にMILの番号を付与している場合こともあるようで、「それって、一回、シビアな環境にさらしてるんじゃないの? 大丈夫?」と不思議に思うこともあります。

最近は、航空宇宙や軍事用途であっても、コストであったり入手性であったりからCOTSを用いることが増えてきているようです。常時最先端の技術を使って開発を続けているような宇宙業界であれば、目まぐるしいCOTSの変遷に合わせて進化できそうですが、航空や軍事のような先例主義、最初に作ったものを何年も何十年も使い続けるような形態だと、あっという間に部品が陳腐化して、しかも生産中止、代替品なし、のようなことになりかねないのが恐ろしいところです。特にコンピュータ関係の移り変わりは顕著なので、うん十年も前から運用をしている機器なんかはどのようにいて維持しているのか、最前線を見てみたいです。
(ボーイング777なんて、2000年前後から今でも飛んでますが、Win95やWin98を運用して整備しているの?)(軍事仕様だと、航空自衛隊のF-4戦闘機なんて、1970年頃から2021年まで飛んでいましたが、一体何をどうやって整備していたの?)